研究概要 |
1.重症真菌敗血症モデルの開発 Candida albicans TIMM 1768の菌株を5×10^4〜1×10^6cellsの4段階に調整して,BALB/c系およびICR系の2系統雄性マウスの尾静脈より投与し,まず重症真菌感染症モデルを作製して,生存率やマウス全身状態を観察して,実験に使用する菌株のvirulenceを確認するとともに,経日的な各臓器における生菌数を求めた. その結果,ICR系に比べ,BALB/c系マウスがC. albicans TIMM 1768の菌株に対して高感受性を示し,1×10^6cells/mouse投与群で,全例が真菌投与後10日で死亡することが確認できた. 2. AMPH包含リピッドマイクロスフェア-の試作と製剤学的検討 試作したAMPH包含脂肪微粒子製剤を超遠心分離による3層分画分析を行った結果,通常存在することのない下層にもTG成分が分布しており,AMPHと何らかの形態で脂質複合体を形成することが初めて明らかになった.また,リン脂質の量が増加するに伴って,AMPHが多く包含できる傾向を認め,主として中層と下層の複合体中に含まれるAMPHが増加した.この事実は,AMPH脂質複合体はリン脂質のみではなく,TGをも含めた形態を形成しており,lipid emulsionの界面に結合または遊離して存在している可能性が示唆された. 3. In vitro抗真菌活性の検討 リン脂質として,卵黄レシチン(YPL)を用いて作製したAMPH包含YPL脂肪微粒子製剤およびphosphatidylglycerol (PGL)を用いたAMPH包含PGL脂肪微粒子製剤のMICを市販のAMPH製剤であるFungizoneとAMPH封入リポソームを比較したところ,それらのMIC値はFungizoneやAMPH包含リポソームに比べやや低くなる傾向を認めた. 4.真菌感染症におけるPCR法を用いた診断法の基礎的検討 臨床上重要な5種類の真菌と正常ヒト血液の混和物よりDNAを抽出し,それをtempleteとしてPCRの至適条件を決定した.
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