研究概要 |
1.AMPH封入リピッドマイクロスフェア-(AMPH-LM)に関する製剤学的検討 AMPH-LMの粒子形態を粒子径とトリグリセリド(TG)/リン脂質(PL)比の関係から検討すると,AMPH-LMの粒子径とTG/PL比は高い正の相関を認め,同一粒子径においてAMPH-LMはTG/PL比がAMPHを含まない同組成の脂肪乳剤よりも低いことが判明し,AMPHはリン脂質を中心とする脂質と複合体を形成してlipid emulsionの界面に結合または遊離して存在している可能性が示唆された. 2.AMPH封入リピッドマイクロスフェア-による副作用軽減効果の検討 BALB/c系マウスを用いた単回投与後の生存率および体重推移を比較すると,AMPHの市販製剤であるFungizone^Rでは,AMPHの投与量が2mg/kgでもマススが死亡したのに対して,AMPH-LMではAMPHの投与量が25mg/kgでも全例が生存し,体重も順調に増加した. 3.C.albicans感染BALB/c系マウスを用いたAMPH封入リピッドマイクロスフェア-による治療実験 BALB/c系マウスにC.albicansTIMM1768を1×10^6cells/mous静注して重症真菌敗血症モデルを作成して行った治療実験では,Fungizone^RにおけるAMPHの最大投与可能量である1mg/kgではマウスの死亡例を認めたのに対して,AMPH-LM8mg/kg投与群では全例は生存し,優れた治療効果を有した.さらに,耐過マウスの腎内生菌数においてもAMPH-LM8mg/kg投与群で有意にC.albicansの増殖を抑制していたことがわかった. 4.PCR法を用いた深在性真菌症の臨床応用 得られたPCR産物を用いて,RFLP法を応用し,菌種の同定について検討したところ,臨床上重要なCandida属の菌種はそれぞれ特異的に制限酵素でcuttingでき,菌種の同定に利用できることを明らかにした.
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