研究概要 |
本年度も安定同位元素標識トレーサーを用いた一連の研究を可能とするため、昨年にひきつづき、各機器の整備ならびに標準試料を用いた測定条件の設定などの基礎的な検討を行った。最終日標は実際の生体内におけるアミノ酸代謝動態の測定であるが、ガスクロマトグラフィー質量分析器(GCMS)の条件設定が安定しないため,ひきつずき安定同位元素標識グルコーストレーサーを用いGCMSの条件設定をおこなった.測定条件はEI modc(electron impactionization),SIM(selective ion monitoring)modcにてm/e 202.1(m+2),201.1(m+1),200.1(m+0)を測定した。昇温条件で各イオンのelution timeより、平均5.52分であり、安定、かつsharpなpeakが得られた。m+2/m+0は1.15、m+1/m+0は10.38であり、ほぼnatural abundanceの値と一致していた。この条件を用いて生体から得られた検体のTTR(tracer/tracer ratio)を測定したが、血清中に存在する夾雑物のためsharpなpeakは得られなかった。従って引きつずき検討する予定である。安定同位元素標識トレーサーを用い、グルコースやアミノ酸の代謝動態を測定するとともに、同時(ここれらを制御していると思われる血中におけるグルコース、各脂肪酸、ホルモン、サイトカインの濃度を測定する機器の整備も行った.さらにより全身における基質代謝を知るのみならず、体構成成分を側定することにより各体構成成分あたりの基質代謝、エネルギー酸化量を算出することができ、とくに術前、術後の栄養状態の変化、またエネルギー代謝の変化がより明確となる。密接に関連している生体内におけるエネルギー代謝を知るため間接熱量計を用いたエネルギー消費最の算出、各基質酸化量の算出を施行した。これまで胃癌、大腸癌、胆道手術の術前、術後のエネルギー基質代謝の変化を検討しているが、胃癌手術の術後では他の手術後に比較し体脂肪率の滅少率が大きく、より高度な栄養管理を要することが明らかとなった。
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