研究課題/領域番号 |
08457334
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
日置 絋士郎 関西医科大学, 医学部, 教授 (60077641)
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研究分担者 |
大草 世雄 関西医科大学, 医学部, 助手 (80247907)
田中 完児 関西医科大学, 医学部, 講師 (90221390)
中根 恭司 関西医科大学, 医学部, 助教授 (60155778)
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キーワード | 胃癌 / 生検材料 / CD44変異体 / RT-PCR / 予後 |
研究概要 |
われわれは、癌の浸潤、転移と深く関連するといわれているvariant exon6を含むCD44変異体mRNA(以下、v6)の発現をRT-PCR/Southern blot法を用い、胃癌において検討し、術前生検材料の検索で術後の転移や再発を予測することが可能であるかを検討した。まず、当科で切除した胃癌症例のうち予後が確認できた73例の新鮮凍結標本を対象にv6発現量を臨床病理学的に検討した。v6発現量はリンパ節転移および肝転移と相関した。また、再発例、特に血行性転移例ではv6発現量が増加し、高発現群の予後は不良であった。さらに、Cox比例ハザード分析を行ったところ、v6発現は独立した予後因子であると考えられた。そこで、これらの研究結果の臨床応用として、術前内視鏡生検材料におけるv6発現量を検討した。胃癌12症例において、術前生検材料と手術標本のv6発現量の比較検討を行ったところ、それぞれの発現は、ほぼ一致し、有意に相関する結果が得られた。術前評価としての有用性が示唆され、研究成果として発表(外科治療75(6):720-721,1996)するとともにその後、症例を積み重ね、検討を行った。現在までに25症例の検討を行ったが、やはり、術前生検材料と手術標本のv6発現量はほぼ同等であった。さらに、肝転移が認められた症例においては手術標本と同様に発現量の増加をみた。つまり、手術標本のv6発現が、術前の生検材料の検索で評価できるものと考えられた。現在、prospective studyとして、対象症例の予後を追跡中であるが、今後、症例を増やし、さらなる検討を行っていく予定である。 上記研究と同時に高転移胃癌細胞株の樹立を目指し、手術標本から採取した癌細胞の培養を行い、マウスへの移植を行っているが、ほとんどの場合、一次培養が困難であり、まだマウスに生着する段階に至っていない。技術的な問題もあると考えられるので、今後、それらを克服できるように努力し、研究を進めて行きたい。
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