研究概要 |
LPSにより惹起される肝細胞死に対するNOによる防御機構の解明に関して検討した。 1)250g Wistar系ラットにLPS 100μg/kg,LPS+actinomycin D 800μg/kg,LPS+act D+100μg SNAPを投与後のミトコンドリア機能について酸素消費量も用いて検討したところ、LPS単独ではミトコンドリア機能に異常を認めなかったが、LPS+act Dではミトコンドリア機能に抑制を認めた。LPS+act DにNO産生を促進するSNAPを添加したところ、ミトコンドリア機能低下の有意の抑制を認めた。 2)iNOS阻害剤SMT 10mg/kgを腹腔内投与した後、LPS+Act Dを投与したところ、ミトコンドリア呼吸能は極めて悪化した。 3)遊離肝細胞を用いてミトコンドリア産生活性酸素種による細胞障害性とNOによる抑制、poly(ADP-ribose)polymeraseとの関係について検討した。LPSにて発生する細胞障害はNOにより抑制され、それと平行してpoly(ADP-ribose)polymerase活性が増加した。しかも、SMT添加によりその活性はさらに増加し、細胞障害性もより強くなり、その際の細胞内ATP含有量、NAD量も著明に低下した。しかし、その活性の増加はSMAP投与にて有意に抑制された。 4)ミトコンドリア膜電位はiNOS阻害剤を投与しない状態ではある程度維持されていたが、iNOS阻害剤投与にて極めて悪化した。 4)細胞内活性酸素産生量はNO産生、抑制においても有意差を認めなかった。 5)LPS+act DによるDNA-fragmentationは4時間目から認め、SNAP添加により有意に抑制され、SMT添加により増強した。
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