研究課題
基盤研究(B)
消化管組織に対するin vivoにおける遺伝子導入法の開発を目的として、1)経血管的導入 および 2)経消化管内腔導入、の2方法を検討した。ベクターとしてはセンダイウイルスの膜融合能を利用したHVJ-リポソームを用いた。1)経血管的導入:6〜8週齢ラットを用い、大動脈、腸間膜動脈を露出し、一時的に大動脈血流を遮断し、腸間膜動脈に選択的にオリゴヌクレオチド、またはヒトhepatocyte growth factor(h-HGF)遺伝子をHVJ-リポソームを用いて導入した。蛍光色素をラベルしたFITCオリゴヌクレオチドは蛍光顕微鏡下で粘膜組織および筋肉組織に集積が認められた。h-HGF遺伝子はヒト特異的遺伝子配列を認識するプライマーを用いたRT-PCR法にてh-HGF遺伝子のm-RNAの発現を確認した。2)経消化管内腔導入:6〜8週齢ラットを用い,小腸に対しては開腹下に小腸内腔に注射、大腸に対しては経肛門的にバルーンカテーテルにてFITCオリゴヌクレオチドを導入した。FITCオリゴヌクレオチドは蛍光顕微鏡下で粘膜組織に集積が認められたが、筋肉組織には集積は認められなかった。以上の結果を踏まえ、FITCオリゴの詳細な集積部位を細胞レベルで検討中である。またm-RNAの発現はRT-PCRレベルで確認されたが、導入遺伝子の蛋白レベルでの発現をウエスタンブロット法・ELISA法・免疫組織染色法を用い、検討中である。なお、本研究の内容は遺伝子医療公開シンポジウム(平成9年3月1日、大阪)にて発表した。