研究課題/領域番号 |
08457339
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
松居 喜郎 北海道大学, 医学部・附属病院, 助教授 (90219379)
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研究分担者 |
安田 慶秀 北海道大学, 医学部・附属病院, 教授 (60125359)
村下 十志文 北海道大学, 医学部, 講師 (20261290)
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キーワード | TMLR / VEGF / 心筋虚血 / アポトーシス |
研究概要 |
広背筋を用いた代用心筋によるdynamic cardiomyoplasty(DCMP)は欧米では、他の治療の余地:がない不全心に対し試みられているが、心補助効果については疑問とする報告も多い。そこで広背筋遠位部の収縮能の減弱した部分でwrappingする従来の方法が、心収縮の補助という面で不完全と考え、遊離広背筋によるwrapping法を考案し報告してきた。さらに広背筋を遊離することによる神経切断の影響について検討してきた。すなわち神経切断した広背筋に持続電気刺激を8週施行後の筋線維の変化をATPase染色で観察し、耐疲労性のtypeIの筋線維が増加(非刺激49.8%,刺激82.1%)、筋線維も大きいことを確認し、遊離広背筋の慢性期使用が可能であると判断した。平成10年度はDCMPの不全心に対する効果を確認するため、rapid pacingによる心不全モデルの有用性を詳細な心機能解析により行った。[方法]ビーグル犬の心室を250/minで3-5週間rapid pacingすることにより心不全モデルを作成し対照群と心機能を比較検討した。[結果]rapid pacing群(n=7)ではpacing前後でLVDdは27.7±1.7mm、39.2±3.2mm、FSは43.9±2.6%、13.6±0.7%(p<0.01)と有意に心臓は拡大し壁運動は低下した。またpreload stroke workをみるとMwは対照群(n=6)で71.8±11.2、rapIdPaCIIlg群で32.9±4.6(p<0.01)と有意に心収縮力は低下し、拡張能では対照群、PaCIIlg群で順にPFR112.7±18.5、122.3±12.4、Tau45.8±6.0、54.6±4.5と有意差はなかった。すなわちrapid pacingによる心不全モデルは心拡大と心収縮能の低下をきたすが拡張能にはあまり影響のないことが判明した。
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