研究概要 |
生体弁の石灰化防止を研究する上で、新しく処理した実験材料を、いかに生体循環内に近い状態でテストするかは重要な問題である。そこで、以下の実験を行ない、従来のモデルと比較した。 ブタの大動脈弁と主肺動脈を摘出し、0.625%グルタールアルデヒド処理後これらを用いてcomposite-graftを作成し、幼羊の下行大動脈に移植し、5カ月後に摘出し石灰化の程度を測定した(I群)。一方、従来の方法として、上記と同様の処理をしたブタ大動脈を3週Wistar系ラットの皮下に移植し、5カ月後に摘出し石灰化の程度を測定した(II群)。 I群、II群とも摘出した大動脈弁の石灰化は高度であった。大動脈弁尖のカルシウム含有量は、I群205.21+16.24mg/g,II群235.21+45.25mg/gであった(p=0,0299)。 生体弁の石灰化を観察する方法として、グルタールアルデヒド処理したブタ大動脈弁と主肺動脈よりcomposite-graftを作成し下行大動脈に移植する本モデルは、ラットの皮下に植え込む方法と、実験動物の左心系に植え込む方法の中間に位置すると考えられ、その経済性、容易さから生体弁の石灰化を研究するのに有用な方法と考えられた。
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