1、心臓へのin vivo transfection法の開発 従来のex vivo transfection法は摘出心にtransfectionした後に、recipientラットの腹部に異所性に移植し、その後摘出しランゲンドルフモデルでの評価を行っていた。このモデルではin vivoでのカテコラミンに対する反応性の評価ができないため、肥大心遺伝子治療法における心機能改善効果の判定を行うためには心臓へのin vivo transfection法の開発が必要であった。ラット腹部大動脈よりPTCA用カテーテルを挿入し、頚静脈より一時的に脱血し前方拍出が低下した状態でFITC標識oligonucleotideをHVJ-liposomeと混合したものを上行大動脈より心筋に潅流させた。 しかしこの方法では蛍光顕微鏡で検出できる十分なtransfection効果を得ることはできなかった。 2、ラット心不全モデルの作成 ラット動静脈瘻モデルを作成し容量負荷に伴う心肥大、心不全モデルを作成した.処置後24週後に摘出しランゲンドルフモデルにてカテコラミンに対する反応性の違いを検討した。Sham群ではdevelopping pressureが153±40%の変化を示したのに対し、心不全モデルでは121±28%の変化となり心不全モデル心でのカテコラミンに対する反応性の低下を認めた。 3、培養ストレッチ負荷肥大心筋細胞での遺伝子治療法開発 シリコン膜上にラット幼弱心筋細胞を培養し反復ストレッチ負荷を加えて、心筋細胞の肥大が生じていることを確認した。ストレッチ負荷心筋細胞におけるbeta adrenergic receptor kinaseの遺伝子発現状況をribonuclease protection assay法にて検討したが遺伝子発現は認められなかった。beta adrenergic receptor kinaseに対するantisense oligonucleotide投与下で反復ストレッチ負荷を加え、その後のカテコラミン反応性の変化について検討したが拍動数の変化はantisense oligonucleotide投与の有無によって差異を認めなかった。
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