研究概要 |
当教室では,ドナー心の長時間保存をめざし,12時間の単純浸漬保存後に1時間の冠灌流法を行うことによりドナー心のviabilityの改善が得られることを,保存実験及び同所性移植実験を通じて報告してきた.さらに,冠灌流に用いる灌流液をUW液より希釈血液に変えることにより,その改善の度合いが向上することも実験により確認した. しかし,それぞれの冠灌流はLangendorff法によったため,独自の冠灌流装置を泉工医科工業の協力により試作した.その有効性を雑種成犬を用いた保存及び同所性移植実験で検討中である.本装置は,単純浸漬法と低流量の持続冠灌流法を組み合わせたオリジナルなもので,ドナー心の低温保存が可能,灌流圧が可変,駆動力不要,搬送可能,等の特徴を有する.現在までに,浸漬および灌流液にUW液を用いた12時間保存・移植実験でその有用性を確認している.今後,force transducer による測定系を更に確実にし,force transducerによる移植心機能の評価を行うと同時に,灌流液を変えていき更に長時間の保存を行っていく予定である.
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