研究課題/領域番号 |
08457346
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
阿部 裕輔 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (90193010)
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研究分担者 |
井街 宏 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10010076)
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キーワード | 人工心臓 / 1 / R制御 / 心拍 / ハイブリッド / 両心バイパス / グローバルコントロールロジック |
研究概要 |
本研究は、自然心臓を切除せずに人工心臓を装着したハイブリッド型の完全人工心臓循環慢性動物実験モデルを用いて、人工心臓に自動制御(1/R制御)をかけた場合の自然心臓拍動の反応から生体の循環系制御ロジックを解明することを目的とする.-人工心臓としては、サック容量60mlの空気圧駆動式の血液ポンプを用いた.心房脱血による両心バイパスを装着し、肺動脈のみをクランプして、右心を完全人工心臓循環とし、左心は上行大動脈を狭窄させて、1〜2割程度自然心臓の拍出量を残した人工心臓循環を作製した.このモデルでは、右人工心臓により心拍出量は完全に制御できるために、心拍出量制御の視点から見れば、完全人工心臓循環と同義と見なせる.このモデルを使用し、右人工心臓の拍出量を心拍出量の代用として制御関数に入力し、生存期間を通して1/R制御を行った.その結果、自然心臓の心拍数の変動と1/R制御による人工心臓の拍動数の変動には、ほぼ一致が見られる場合と、見られない場合があることが分かった.傾向としては、大動脈圧の変動が少ない場合には心拍変動と拍動数変動がほぼ一致し、この場合は心拍変動が拍動数変動に先行していた.また、大動脈圧の変動が大きい場合には、心拍変動と拍動数変動は解離し、時には正反対の変化が観察された.これらの結果より、1/R制御と生体のグローバルな循環制御ロジックとの相違は、大動脈圧の変動時に顕著化し、このことは、1/R制御関数の第1項は生体のグローバルな循環制御ロジックの1部分を割と適切に記述しているが、第2項が不適切であることを示している.従って、1/R制御関数の第2項を適切に関数化することにより、生体のグローバルな循環制御ロジックを生理的関数として表現できる可能性があることが分かった.
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