研究概要 |
本研究の目的は酵母を用いたycast p53 functional assay(以下yeast assay)を各種の脳腫瘍の遺伝子診断に応用し,その予後判定や治療法の選択に応用するため,本assay法を臨床上の実際的遺伝子診断法として確立することである.昨年度までこの研究により多くの成果を挙げてきたが,本年度も以下の様な多大の成果を挙げている. 1) 中枢神経系非星細胞系腫瘍に本assayを適用し,中枢神経悪性リンパ腫では約1/3の症例にp53変異がみられるが,それ以外の腫瘍ではp53変異はまれであることを報告している(ActaNeuropathol95:291,1998) 2) 星細胞腫のうちpilocytic astrocytomaに本assayを適用し,同腫瘍ではp53変異はまれであることを報告している(Int J Cancer76:797,1998) 3) p53変異がないglioblastomaではp53変異があるものに比べ放射線感受性が低く,予後が不良であることを報告している(CancerRcs58:1793,1998) 4) p53をglioma細胞に遺伝子導入することによる遺伝子治療を想定し,そのp53遺伝子導入高率を本assay法を用いてmonitorするための数学モデルを考案し,それをテストして良好名結果を得て報告している(Gene Therapy5:339,1998) 5) 昨年度までの結果と本年度の結果を総合し,星細胞系腫瘍におけるp53変異の生物学的意義を論じる総説論文を発表している(Neurooncology,in press).またp53変異についての解説文を共著書籍として発表している(秀潤社刊,1998)
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