研究概要 |
本研究により以下のような多大の成果を納めることができた. 1) 腫瘍とその継代培養細胞を解析し,p53変異を持つcloneは強い選択圧をもってclonal expansionを起こし,それが悪性転化に関係することを明らかにした(Int J Cancer,1996). 2) Anaplastic astrocytoma(AA)およびglioblastoma(GBM)に適用しAAでのp53変異の頻度が67%,GBMでの頻度が43%と従来の報告よりもかなり高い頻度を示すこと,AAでの頻度がGBMでの頻度より高いことからAAの多くがp53変異によりLGAから連続性に悪性転化するのに対し,GBMではp53変異に依存しないde novo型の経路が半数以上を占めることを示した(Mol Carcinog,1997). 3) p53変異がないglioblastomaではp53変異があるものに比べ放射線感受性が低く,予後が不良であることを報告している(Cancer Res 58:1793,1998) 4) 中枢神経系非星細胞系腫瘍に本assayを適用し,中枢神経悪性リンパ腫では約1/3の症例にp53変異がみられるが,それ以外の腫瘍ではp53変異はまれであることを報告している(Acta Neuropathol 95:291,1998) 5) 星細胞腫のうちpilocytic astrocytomaに本assayを適用し,同腫瘍ではp53変異はまれであることを報告している(Int J Cancer 76:797,1998) 6) 以上の結果を総合し,星細胞系腫瘍におけるp53変異の生物学的意義を論じる総説論文を発表している(Neurooncology,in press).またp53変異についての解説文を共著書籍として発表している(秀潤社刊,1998)
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