研究概要 |
RF組織内加湿を行った脳腫瘍症例のコンピュータシミュレーションを用いて,その温度分布を検討した。13.56MHz,RF組織内温熱療法により加湿した転移性脳腫瘍および悪性神経膠腫症例を対象とした。温度分布シミュレーションは二次元有限要素解析法を用い,本年度購入したワークステーションにて計算した。高温域は同心円状に,42-40℃の加温域では腫瘍の形状,浮腫,脳室等の影響をうけた温度分布が記録された。腫瘍サイズが4.0cm^2の転移性脳腫瘍症例では電極が1本、出力5Wの加温で、コンピュータシミュレーション上では>42℃領域は6.2cm^2であり、実際に臨床的にも充分な加温効果が得られた。サイズが9.8cm^2のグリオーマ症例では電極が2本,出力20Wの加温では>42℃領域は8.2^2であり,臨床上,局在的な効果が認められた。コンピュータシミュレーションにより温度分布の把握が容易となり治療プランニングにも有用と思われた。 また,本年度は,ファントム実験にて実測値とシミュレーションによる理論値を比較し,精度を検討する予定であったが,先に各熱物性パラメータの適正値を実際の脳腫瘍症例で検討すべきであると考え,次年度に行うこととした。 一方,画像処理に関しては,CTおよびMRIをシミュレーションに用いることは全く問題なく,さらにSPECTを用いた血流を考慮した画像処理を現在検討中である。
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