研究概要 |
本研究は、虚血性脳損傷修復過程におけるiNOS発現が様々なNOS inhibitorやbFGFなどの神経成長因子によってどのような影響を受けるのか、星状細胞に特異的なinducible NOSや虚血損傷後に星状細胞に発現する未知の遺伝子群を単離同定して、その発現と機能を調べ、特にこれらの遺伝子群が損傷修復機序にどの様な関与をしているか解析する事を目的とした。 本年度(97年度):前年度ラット海馬より作成した、全脳虚血前後(コントロール及び24時間後)でのSuppression subtractive hybridizationを用いたsubtracted cDNA LIBRARY(L.Diatchenko,1996)より得られた100個のクローンをRNAレベルでの発現解析を行った。またこれらのクローンをすべてDNA sequenceを行い、データベースにてホモロジー検索を行った。その結果、20%以上のクローンが既知のものと同定され、さらに残りのクローンもほとんどのものが既知の遺伝子と何らかのホモロジーを示し、全く新規のものはわずかに2クローンのみであった。これは、Blunt endで切断する制限酵素によりDigestの後、Linker ligationを行ったためにライブラリー内に効率よくcoding領域が含まれたためと思われる。さらに、これらのクローンをDifferential screeningの後、DotおよびNorthern解析を行った結果、明らかにup-regurateしていのは結局3クローンであり、その一つはribosomalprotein L13であることが判明した。現在さらに約2,000個のクローンを新たにスクリーニングしており、少なくとも約50-60個のup-regulateしたクローンが同定される見込みである。詳細は次年度(98年度)に報告する予定である。
|