1993年1月1日から1996年12月31日までに神戸大学脳神経外科において経験した水頭症症例124例について検討した。水頭症症例124例のうち男性は65例(52.4%)、女性は59例(47.6%)であり、診断時の平均年齢は35.5歳であった。そのうち水頭症初発例が76例(61.3%)、シャント機能不全例が53例(42.7%)であった。初回のV-Pシャントを行ったものは45例、シャント再建術を行ったものは49例であった。術前のCTCで水頭症の重症度分類で□a似下の症例でも、あるいはICPモニタリングで%Bwaveが40%以下の症例でも高率で術後症状の改善を認めた。したがってCTCやICPモニタリングでは手術の成否は確実には予測できないと考えられた。術後の高次機能検査では高い改善率が得られ、長谷川式痴呆スケールでは9例(75.0%)で改善を認めた。またベッドサイドでの臨床症状や画像を総合的に判断するとシャントによってほとんどの症例で改善を認めた。水頭症の診断、シャントの手術適応の判断においてはCTCやICPモニタリングなどの検査を行い、ベッドサイドでの注意深い観察をしていくことが重要である。
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