平成8年度における実験結果で、クモ膜下出血がinitial brain damageのみならず、急性期から亜急性期にかけて脳損傷を及ぼし続けることが明らかとなった。この研究成果を平成9年5月にオーストラリアで開かれた5th International Congress on cerebral vasospasmで発表した。その後、クモ膜下出血により誘導されるimmediately early geneの存在を明らかにし1997年のNeuroReportへ報告した。平成9年度は、クモ膜下出血により引き起こされる海馬病変について詳細に検討を加え、この海馬病変の発症に頭蓋内圧の上昇が関与することを明らかとし、また病態とアポトーシスとの関連について主にp21およびp53mRNAの発現より検討を加え、それぞれ平成10年6月に開催された第23回日本脳卒中学会総会で発表した。その研究の成果の一部は1998年に発行された脳血管攣宿13に掲載された。平成10年度はクモ膜下出血により誘導される脳損傷の治療について、特に低体温の効果について研究し、この結果を平成10年11月に開催された第10回脳循環代謝学会等で発表した。
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