研究課題/領域番号 |
08457372
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
脳神経外科学
|
研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
板倉 徹 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (40100995)
|
研究分担者 |
上松 右二 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (90223502)
中井 國雄 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教授 (20180234)
|
研究期間 (年度) |
1996 – 1997
|
キーワード | パーキンソン病 / 神経移植 / フリーラジカル / 交感神経節 |
研究概要 |
我々はパーキンソン病に対して交感神経節の脳内移植を研究してきた。本移植法の問題点として約半数の症例で移植の効果が得られない点があげられる。本研究では、この無効例を減少させる検討を行った。本移植法が無効になる主な原因は、移植された細胞が脳内に生着しないことにあると考えられる。生着の阻害因子として我々はfree radicalに注目しfree radical阻害剤の効果を実験的に研究した。臨床的には本移植術の5-6年にわたる長期効果を検討し、その予後阻害因子を明らかにした。 1.結果 (1)基礎的研究 6-OHDAを一側黒質線条体ドーパミン路に注入後、交感神経節や胎仔中脳背側部を線条体に移植し、生着細胞数、細胞の大きさ、機能の変化を検討した。この際free radical阻害剤を局所投与し非投与群と比較した。free radical阻害剤投与群では生着率、細胞数、細胞の大きさが非投与群に比し良好で、さらにamphetamineによる回転行動が有意に減少した。このことは神経細胞の移植に際しfree radicalが阻害因子として大いに関与していることを示している。 (2)臨床的研究 臨床的には移植適応患者はさらに増加し、50症例に達した。このうち50%の患者は移植で症状の改善または投薬量の減少をみた。手術成績に影響を与える因子としては、患者年齢、罹病期間、重症度、交感神経節の状態であった。このうち交感神経節内Lewy小体の有無と数は特に手術結果とよく相関した。この結果は術前患者の状態を詳細に把握し、手術適応を決定することによって手術成績を向上させうることを示唆している。 今後の展望 研究結果は上述のごとく神経細胞の移植に際しfree radicalが阻害因子として働いていることを示し、その阻害剤が生着率を向上させることが明らかとなった。この実験的研究をふまえ、今後freeradical阻害剤を臨床例に応用することで移植の効果が向上する可能性がある。
|