研究課題/領域番号 |
08457374
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
中込 忠好 帝京大学, 医学部, 助教授 (90198052)
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研究分担者 |
高木 清 帝京大学, 医学部, 講師 (40197059)
金光 秀晃 帝京大学, 医学部, 講師 (10129992)
田村 晃 帝京大学, 医学部, 教授 (80111532)
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キーワード | 虚血耐性 / 神経細胞死 / 体温 / 砂ネズミ |
研究概要 |
最近、短時間の脳虚血をあらかじめ動物にストレスとして与えておくと、2度目の虚血に対して神経細胞は耐性となることが明らかとなり、"虚血耐性現象"として知られるようになっている。この虚血耐性のメカニズムを明らかにすることができれば、虚血性細胞死を予防する治療法がみつかる可能性がある。しかしながら、一回の致死的虚血でこの虚血耐性を誘導できる期間はせいぜい1週間である。今回は、非致死的ストレスを複数回負荷すると、強いあるいは長期の虚血耐性が得られるか否かを砂ネズミ前脳虚血モデルで検討した。まず、2分間の非致死的虚血を、6〜8回予め負荷し、2週間、1ヶ月後でも虚血耐性が確認されるかを検討した。その結果、虚血後2週後では、耐性獲得が認められるが、1ヶ月後では、動物の虚血に対する耐性能力は消失していることが明らかとなった。現在、複数回非致死的虚血の条件を変えて、さらにこの期間を延長できないか検討している。 一方、軽度低体温も虚血性神経細胞死の予防に有効であることが、動物実験で明らかにされ、また実際の臨床上でも重症頭部外傷やくも膜下出血の患者に応用されている。われわれは、以前サイクロオキシゲナーゼの阻害薬であるインドメタシンが砂ネズミ一過性前脳虚血モデルにおいて、虚血性神経細胞死の予防に有効であることを明らかにしたが、そのメカニズムは不明であった。今回、虚血中の体温を37.5±0.4℃に維持したところ、インドメタシンの虚血保護効果は認められなかった。一方、インドメタシンにより、体温をコントロールしない動物では、虚血中体温が2〜3℃低下した。従って、インドメタシンの神経細胞保護効果は低体温を介していることがわかった。現在は、低体温および高体温が虚血性神経細胞死にどのような影響をあたえるかについて、また、体温と虚血性神経細胞死の関連を、アラキドン酸代謝の側面から検討している。
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