研究課題/領域番号 |
08457377
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
整形外科学
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
井田 英雄 山形大学, 医学部, 助教授 (40184600)
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研究分担者 |
高木 理彰 山形大学, 医学部, 助手 (40241707)
荻野 利彦 山形大学, 医学部, 教授 (60109436)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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キーワード | 人工股関節 / 生体親和性 / 骨溶解 / 骨再造形 / マクロファージ / ポリエチレン / マトリックスメタロプロテアーゼ / サイトカイン |
研究概要 |
人工関節の緩みにおける生体反応機構を解明するために、平成8年度から平成10年度の3年間に、1)動物実験による骨溶解モデルの作製と形態学的並びに生物学的な検討、と、2)弛緩人工股関節周囲組織の形態学的並びに生物学的な検討を行い以下の結果を得た。動物モデルの作製では、当初、マウスモデルの応用を試みたが大腿骨が小さくインプラントの挿入が不可能なため、Howieのモデルを改良して、ラット膝関節から大腿骨にステンレスピンを挿入し、術後2週毎にポリエチレン磨耗分を8週目まで注入し、骨溶解モデルの作製に成功した。ポリエチレンは、3ミクロン顆粒が30ミクロン顆粒よりも生体反応が著しく、骨溶解現象は顕著であった。骨インプラント間の肉芽組織には滑膜組織と同様に、ポリエチレンを貧食または取り囲んだマクロファージや異物巨細胞が観察され、活性化綿維芽細胞、血管内皮細胞とともに主要な構成細胞として生体反応に関与していた。これらの細胞は、マトリックスメタロプロテアーゼやインターロイキンなどの蛋白分解酵素やサイト力インを産生じていた。周囲の骨組織は、骨溶解部と接して旺盛な骨形成性の反応がテトラサイクリンの骨標識により証明され、インプラント周囲の骨組織は、骨吸収と骨形成が複雑に関係した高回転型の骨再造形が明かとなった。この骨動態は、共焦点レーザー顕微鏡を用いた形態観察によって、通常型蛍光顕微鏡を用いるよりも明瞭に観察することが可能で、共焦点レーザー顕微鏡の有用性が明らかとなった。手術材料から得られた組織を解析すると動物モデルと同様に、ポリエチレン磨耗粉とともにマクロファージや異物巨細胞、活性化線維芽細胞、血管内皮細胞を中心とした炎症性異物肉芽組織の存在が免疫組織学的に滑膜組織と骨・インプラント間の肉芽組織に証明され、また蛋白分解酵素とサイト力インの発現も確認された。さらに、骨動態も動物モデルと同様の所見が得られた。このような動物実験モデルと生体組織の解析から、弛緩人工関節の生体反応は、インプラント磨耗粉に起因した炎症性異物肉芽反応と、この反応とメカニカルストレスによて生じる高回転型の骨再造形からなり、インプラント周囲の骨組織の脆弱化が生じて人工関節の弛緩が生じるものと結論された。
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