研究概要 |
本研究は特発性側弯症を遺伝学的見地から捉え、側弯症の双生児、あるいは家系内発生例から、側弯症発生の原因となる遺伝子を単離することを目的とした。 背柱側弯症を有する双生児15組に対しDNA fingerprinting法を用いてtwin studyを行い、一卵性、二卵性双生児それぞれの側弯症の特徴を比較検討した。双生児間でのカーブパターンなど側弯症一致率は二卵性より一卵性で有意に高く、側弯症の発症と進行に遺伝的要因の関与が示唆された。 次に特発性側弯症のlinkage解析を行うため、常染色体優性遺伝が示唆される家族性側弯症の家系図を78家系につき作製し、採血により抹消リンパ球DNAを採取した。Linkage解析にあたっては候補遺伝子アプローチにより、候補遺伝子の選択を、対象となった家族性側弯症では関節弛緩(joint laxity)の合併率が35.8%と比較的関与が高いことから、関節弛緩の誘因となる遺伝子COL 1A1,COL 1A2,COL2A1,Fibrillin 1,Fibrillin2を候補遺伝子と考え、これらの候補遺伝子領域からlinkage解析を行った。78家系のうち減数分裂数がのべ11以上ある、大家系2家系におけるlinkage解析では、候補遺伝子は家族性側弯症とは連鎖せず、側弯症発症の原因とはなり得ず、さらなる検索が必要である。 引き続き、さらに大家系の収集を行い、候補遺伝子を広げてlinkage解析による検索を行うことが必要である。
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