[方法]32羽の成熟家兎を用い凍結同種半月板移植を行った。12羽の非手術群の家兎をコントロールとした。術後12週、26週にて屠殺し、移植半月板の組織、血流、生化学(GAG量、DNA量、コラーゲンクロスリンク)、In situ hybridization法によるタイプI、IIIコラーゲンmRNAの発現につき検討した。[結果]組織像:移植半月板では関節包付着部付近に於ける血管増生とコラーゲン線維の走行のみだれが観察された。血行:12週間で関節包より移植半月板への血行が認められ、26週では付着部より約1/3に至っていた。生化学:移植半月板のGAG量は26週に至るまで低値を示したが有意差は見られなかった。DNA量は12週で有意の低値を示したが、26週においてはコントロールと同様の値となった。コラーゲンの新生を反映するDHLNLが26週にて高値を示していた。コラーゲンの成熟度を反映したPyridinolineは12週で有意の低値を示したが、26週においてはコントロールとほぼ同様の値となっていた。Insitu hybridization:12週でタイプI並びにタイプIIIプロコラーゲンmRNAが移植半月板縫合部の滑膜付近で高濃度に発現しているのが観察された。26週においてはタイプIプロコラーゲンmRNAは依然として高濃度に発現していたが、タイプIIIプロゴラ-ゲンmRNAはコントロールとほぼ同様の値となっていた。[考察]凍結移植半月板では細胞成分増加と細胞外基質コラーゲンの盛んな再構築が認められた。これら移植半月板の細胞は、移植後26週で通常の半月板組織と同様のコラーゲンタイプを発現しており、さらに細胞外基質コラーゲンは成熟過程にあることが明らかとなった。今回の結果では、凍結保存した半月板は移植後スカフォードとして機能し、細胞成分を誘導し細胞外基質の盛んな生合成が行われていることが実証された。
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