研究概要 |
実験動物にrat major mismatch model(LEW)とBrown Norwayを用いた。third partyとしてはPVGを用いた。抗CD2抗体は2mg/dlを用いた。移植はBNの腹部より全層植皮を2片LEWの背部に移植した。抗体の投与法により3群作成した。抗体は非投与群、B群は術前2日前、1日前の二回投与した群、C群は術前1日前より術後7日まで9回投与した群である。各群ともLEW6匹を用い、12移植皮片を作成した。移植した皮膚が拒絶されるまでの期間は移植皮膚が脱落、もしくは壊死瘢痕化して完全に痂皮化するまでとした。更に移植した皮膚の発毛状態状態を観察した(平成8年度中にほぼ終了)。 この成果に基づき、平成9年度中の検討項目として移植皮膚の生着状態とレシピエント動物の免疫状態を検討評価した。 レシピエントの免疫機能評価は皮膚移植術後3週で検討した。レシピエントとLEW,BN,PVGの脾細胞を混合し、レシピエントのリンパ球の反応状態を検討するためリンパ球混合試験を行った。 結果、移植皮膚が拒絶されるまでの期間は抗体非投与のA群は7日から12日、平均9.2日、二回投与のB群は7日から21日、平均10.7日とA,B群間では有意差を認めず、9回投与でのC群は21から98日、平均51.3日と有意に延長を認めた。発毛状態はC群の4週以上生着した3匹8移植片のみにドナー由来の黒色毛の生育が見られた。術後3週のリンパ球混合培養試験では、A群ではBN(ドナー)に対する反応はPVG(third party)に対するものより有意に高く、B群では両者に有意差はなく、C群では、BN,PVG対する反応とも抑制されていたが、PVGに対する反応はBNに対するものより有意に高かった。すなわち頻回抗体投与により、免疫機能が全般に抑えられていると考えられた。 今後、本法を応用することで、皮膚を含めた異系複合組織への道が開かれる可能性があることが分かった。
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