研究概要 |
活動期の強直性脊椎炎(以下AS)患者は抗Klebsiella抗体を、慢性関節リウマチ(以下RA)の患者は抗Proteus抗体を持っていることが欧米で報告されている。本研究では日本人ASおよびRA患者血清を対象として3種の細菌(K.pneumoniae,P.mirabilis,E.coli)に対するIgG,IgA,IgMクラス抗体と3種の合成ペプチド(HLA-B27,pullulanase-D,scrambled)に対する抗体を調べた。活動期AS患者は抗Klebsiella IgA抗体が有意に高値を示した。IgG,IgM抗体の上昇はなかった。非活動期AS患者にはこの現象は見られなかった。活動期RA患者でもIgGクラスの抗Proteus抗体が有意に高値であった。AS患者、RA患者、健常人対照群ともにE.coliに対する抗体は上昇していなかった。AS患者は活動期に関係なくHLA-B27合成ペプチドに対する自己抗体を持っていた。また活動期AS患者はHLA-B27と交差反応をもつpullulanase-D合成ペプチドに対する自己抗体を持っていた。以上の結果は日本人AS患者、RA患者も欧米と同じくそれぞれK.pneumoniaeおよびP.mirabilisに対する抗体を持つことを示した。このことはこれら細菌がASおよびRAの病因に関連する可能性を示すものと考えられる。
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