研究概要 |
1.骨粗鬆症モデルラットにおけるビタミンK2の骨梁構造に及ぼす影響の検討:13週齢Fisher344雌ラットを用い、OVX(両側卵巣摘出)+Vit.K2群(n=14)、OVX非投与群(n=14)、Sham+Vit.K2群(n=7)、Sham非投与群(n=7)の計4群を作成した。ビタミンK2投与は術直後より8週間行い、術後8週で堵殺・右脛骨を摘出した。脛骨近位骨幹端部の2次海綿骨領域をマイクロCTを用いて撮影し、3次元微細構造を再構築した。また2値化データから連結性、複雑性について数量化を行い定量的に評価した。OVX非投与群では髄腔中央部の微細骨梁は消失し、骨梁の連結性は失われていたのに対し、OVX+Vit.K2群ではShamと同程度まで連結性が保たれており、ビタミンK2の骨粗鬆化に伴う骨梁連結性の消失抑制効果が3次元的に確認された。 2.ラット尾椎への機械的刺激による骨梁リモデリングの経時的観察:マイクロCTにて機械的刺激を与えたラット尾椎を非侵襲的、経時的に計測し、形態変化した尾椎骨梁について応力分布を計算し、リモデリング過程における骨の応力状態について検討した。麻酔下にラット第4,6尾椎にピンを刺入し、第5尾椎に荷重5N、1Hz、一日3600サイクルで2週間機械的刺激を繰り返し与えた。一群は長軸方向にピンを刺入し圧縮刺激を加え、他群ではピンの刺入仕置にoffsetを設け、剪断刺激を与えた。マイクロCT撮影を経時的に行い、皮質骨断面積の測定、皮質骨および骨梁形状の抽出、さらに剛体バネモデルによる境界条件の算出と有限要素法による応力解析を行った。その結果、尾椎皮質骨の形態変化では無負荷のコントロール群と比較して、圧縮刺激、剪断刺激を負荷したラットでは皮質骨の変形および新生骨の形成が認められ、経時的にも皮質骨断面積の増加が確認された。特に剪断刺激では機械的刺激の方向に抗するような骨形成が認められた。また骨梁構造をモデル化した有限要素法解析では剪断刺激群において偏荷重に対して適応するようなリモデリングが発生しており、骨長軸に沿った荷重に対してはむしろ脆弱な構造になったことが推察された。
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