フラクタルとは自己相似制の特徴を持つ形状を対象とする数学理論であり、フラクタル次元としてパターンの複雑さを定量的に扱うことが可能となる。我々は骨梁の微細構造がフラクタル性を持つことを明らかにし、日立メディコ株式会社とのマイクロCT共同開発の中で、骨梁形態計測の新しいパラメータとしての応用技術を確立した。 また、日本において開発された骨粗鬆症治療薬であるビタミンK2を卵巣摘出および低カルシウム栄養によるラット骨粗鬆症モデルに投与し、その3次元骨梁構造に及ぼす影響についてマイクロCTを用いて検討した。その結果、術直後からの8週間ビタミンK2経口投与により骨量減少、骨梁連結性および複雑性の低下を抑制できることが3次元的に確認された。 骨のリモデリングに関しては、機械的刺激を与えたラット尾椎の骨形態変化を同一固体・同一部位においてマイクロCTを用いて経時的に計測した。さらに軸荷重、偏荷重という荷重形態の相違、尾椎に付与する刺激回数の相違が骨形態に及ぼす影響について検討した。また剛体バネモデルと有限要素法を併用し、形態リモデリング過程における尾椎について応力解析を行った。その結果、軸荷重負担では刺激回数の増加とともに骨体積増加率も増大したが、偏荷重負荷では増加率は低値であった。また偏荷重負荷群においては腹背側に非対称な応力分布を一様にするような適応の進行が認められた。 さらに電磁場刺激の骨粗鬆症進行抑制効果について、非侵襲パルス電磁波方式の骨電気刺激装置を用い、骨粗鬆症実験モデルである卵巣摘出ラット(OVXラット)に適用して、検討した。Bone Volume Fractionではパルス電磁場刺激群ではコントロール群に比べ、有意に高い値を示し、パルス電磁場刺激群ではコントロール群に比して、骨梁の連結性が保たれ、骨粗鬆症による骨梁減少を抑制する効果が認められた。
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