【目的】ラット骨格筋の虚血再灌流における筋機能障害に対して、強力なhydroxyl radical scavengerであるEPC-K1の効果を検討した。 【方法】体重250〜300gのLewis系雄ラットの左大腿中央部を大腿動静脈のみ残して切断した。EPC-K1を10ml/kg尾静脈より投与し、30分後に血管クリップで動静脈を4時間阻血した(EPC群:N=8)。同様に生理食塩水投与をcontrol群(N=8)とした。24時間再灌流後、両側の腓腹筋を直接電気刺激し筋収縮力を比較検討した。また、腓腹筋の筋湿乾燥重量比、過酸化脂質量、静脈血清のCPK、LDH、GOT-m活性を測定し、腓腹筋の組織学的検討を行った。 【結果】筋収縮力はEPC群では健側の73%に維持されていたのに対して、control群は33%だった。筋湿乾燥重量比はEPC群4.21【plus-minus】 0.14、control群4.70【plus-minus】 0.52、過酸化脂質量はEPC群45.6【plus-minus】 22.3nmol/g、control群76.6【plus-minus】 24.2nmol/g、CPK、LDH、GOT-m活性は、それぞれEPC群2242【plus-minus】 6651IU/dl、2414【plus-minus】 1517IU/dl、29【plus-minus】 71IU/dl、control群3444【plus-minus】 8751IU/dl、5431【plus-minus】 2660IU/dl、44【plus-minus】 14IU/dl、といずれもEPC群が有意に低値であった。組織学的には筋線維腫脹、筋線維間離解および炎症細胞浸潤がcontrol群で著明に認められた 【考察】EPC群では、虚血再灌流による筋障害は有意に抑制され、筋機能が維持できた。EPC-K1は静脈内投与が可能な数少ない薬剤のひとつであり、切断肢・指の再接着や、複合組織移植において、その臨床応用が期待される。
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