培養系の改良による副甲状腺ホルモン関連ペプチド(PTHrP)の関連軟骨細胞に対する増殖促進効果の検出 前年度に得られた結果から、PTHrPは関節軟骨細胞に対してわずかに増殖促進効果を示したために、我々はまず培養系の改良に取り込んだ。培養系に添加している血清がPTHrPの効果をマスクしていると考え、無血清軟骨細胞培養系の開発に取り組んだ。卵黄リポ蛋白、トランスフェリン、ハイドロコーチゾン、繊維芽細胞増殖因子、インスリンを含むa-MEM培地を用いて培養を行い、DNA合成・プロテオグリカン合成・DNA含量を測定した。細胞としては、前年度と同様に、生後4週例の日本白色ウサギの肋軟骨骨移行部より成長板軟骨細胞を、膝関節より関節軟骨細胞を酵素処理にて単離して用いた。 プロテオグリカン合成に関しては、成長板軟骨細胞及び関節軟骨細胞のいずれに対してもPTHrPは促進効果を示した(過去のデータと同じ)が、その効果は成長板軟骨細胞でより顕著であった。10-7MのPTHrPは関節軟骨細胞のDNA合成をコントロールの約3倍に増加させた。成長板軟骨細胞に対しても増殖促進効果を示したが、明らかに関節軟骨細胞でその効果は顕著であった。また、10-7MのPTHrPは関節軟骨細胞のDNA含量をコントロールの2倍程度にまで増加させた(培養10日後)。このことから、PTHrPは生後の関節軟骨細胞に対して増殖促進活性を持つことが明らかとなった。 in vivoにおけるPTHrPメッセージの検出 我々はラットの関節軟骨に外傷を加えることで、PTHrPの発現が上昇するのではないかと考え、ラット関節軟骨に骨に達しない軟骨損傷を与え、5日後におけるPTHrP mRNA量を測定した。パイロット実験では予想通りの結果が得られたが、ラットの数を増やして本実験を行ったところ、結果の再現性に問題があり、明確な結論は得られなかった。
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