研究概要 |
雑種成犬10頭を対象に横隔膜の収縮力を指標して、呼吸筋疲労がどのような時間経過で生じるがを研究した。頚部で左右の横隔神経を露出し、刺激電極を装着した。開腹して横隔膜の腹側の両側に筋収縮ピックアップを逢着し横隔膜筋収縮を直接測定するとともに、バルーン付カテーテルを食道内及び胃内に留置して胃-食道内圧較差を測定した。横隔神経に10H, 20, 30, 40, 50,および100Hzのテタヌス刺激を1秒間加えて横隔膜筋収縮力および胃-食道内圧較差を測定して対照とした。 まず5頭で換気呼気相に同調させて40Hz1秒間のテタヌス刺激を1分間に12回、30分間加え、横隔膜筋疲労を作成した。その後対照と同様に横隔膜筋収縮力および胃-食道内圧較差を測定し、テタヌスの周波数を変化させたときの横隔膜機能の変化を検討した。横隔膜筋収縮は疲労により対照の約70%以下に低下したが、胃-食道内圧較差は対照値の80%以上の値を保った。周波数応答は左方に変位した。 他の5頭で横隔膜筋の収縮力を増強するとされるアミノフィリンを持続投与して同様の横隔膜テタヌス刺激で横隔膜機能が温存されるか否かを検討した。アミノフィリンの血中濃度を10-20mcg/mlに保ってもテタヌス刺激による横隔膜の機能低下(疲労)は防止できなかった。 更に雑種成犬3頭で、30分後の換気呼気相に同調させた1秒間のテタヌス刺激を加え、自発換気補助がなされたのと同様の条件で横隔膜機能の変化を検討した。対象が少なく有意差検定は行われなかったが、呼気補助によって疲労の程度の軽減傾向が認められた。
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