研究概要 |
・麻薬の作用や疼痛刺激を受けた細胞が、その情報をどの様に伝達するか、細胞内シグナル伝達系に如何なる影響をもたらしているかの影響を観察するために、強力な揮発性麻酔薬(イソフルラン)、静脈麻酔薬(ペントバルビタール、プロポホール)、局所麻酔薬の作用を検討する。 ・疼痛その他の刺激によって発現する急性発現遺伝子c-fos,c-junは、脳、心臓、肝臓、腎臓の臓器によっても、また静脈麻酔薬(ペントバルビタール、プロポホール)と吸入麻酔薬(イソフルラン)の麻酔薬の違いによっても異なった。c-fos mRNAの発現量は、特に脳と腎臓で麻酔薬による著明な差を認めた(ASA,1997発表予定)。この差は麻酔薬の作用が全ての臓器細胞に等しく作用するのではなく、ある臓器細胞には促進的に作用していることを示している。 ・培養血管平滑筋細胞を用いてのシグナル伝達も検討し、麻酔薬(プロポホール)による血管平滑筋収縮の抑制機序をラットの大動脈平滑筋細胞で検討し、プロポフォールはエンドセリン1誘発の細胞内情報伝達を抑制し、その抑制はエンドセリン受容体とGTP結合タンパクの間で細胞内情報伝達を抑制すること(Anesthesiology,88,1998)、更にプロポフォールはヴゾプレッシン誘発のPGI_2の合成を抑制すること(Anesthesiology,accepted)を見出した。
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