研究概要 |
研究費の配分を受けた3年間に、動物研究と臨床研究で以下の結果を得た。 1) Cranial windowを作成した犬で、種々のα_2-adrenergic agonistsを投与し,脳血管の反応性と薬理機序を検討し、脳微小血管の収縮作用はα2-受容体を介するしたもので、α_2-adrenergic antagonistで拮抗される。 2) 脊髄硬膜外腔にカテーテルを留置したラットを使用して、α2-adrenergic agonistsクロニジン,デキサメデトミジン,チザニジンの脊髄鎮痛、麻酔効果と脳細胞及び脊髄細胞膜標本を用いての受容体結合実験から、デキサメデトミジン、クロニジン、チザニジンはα_2受容体を介した著明な脊髄鎮痛作用をもち、脊髄のα_2受容体結合(BMAX)と相関する。 3) モルヒネ依存モルモットではα2-adrenocepterがup-reglateしており、退薬症候はクロニジンによって抑止される。 4) 培養血管平滑筋細胞を用いてのシグナル伝達を検討し、プロポホールによる血管平滑筋の抑制機序は受容体とGTP蛋白の間にある。静脈麻酔薬(ぺントバルビタール、プロポホール)吸入麻酔薬(イソフルラン)による急性発現遺伝子c-fos,c-junの発現は、脳、心臓、肝臓、腎臓の臓器ではもとより麻酔薬によっても異なる。 また、臨床研究として、 5) α_2-アドレナリン受容体アゴニストのクロニジンを麻酔前投薬としての服用は、動脈圧受容体反射を抑制するとともに、α_1、β_2アドレナリン受容体作動薬であるフェレニレフリンやイソプロテレノールの作用を増強する。更にクロニジンを麻酔前投薬は、エピネフリンの昇圧作用を増強するので、硬膜外麻酔でのテストドーズでは少量で十分である、他を明らかとした。
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