研究概要 |
1)平成8年度にひき続き、三種類の制吐剤オンダンセトロン、ドロペリドール、メトクトプラミドのモルモット乳頭筋の活動電位に及ぼす影響について検討した。10μMドロペリドール、10μMメトクトプラミドは刺激頻度0.2,0.5,1Hzのいずれにおいても、20%再分極時間(APD20)、APD50、APD90を約10-20%延長した。これに対し10μMオンダンセトロンは0.2,0.5Hzの低頻度刺激ではAPD20、APD50、APD90を約30%延長したが、1Hzの刺激頻度ではAPD90は依然として40%延長したが、APD20、APD50における延長作用は消失した。致死的な心室性不整脈を生じることでしられている抗ヒスタミン薬テルフェナジン1μMは0.2HzではAPD20のみを約15%短縮したが、0.5,1HzではAPD20、APD50、APD90の全てを約15%短縮した。 2)今年度新たに、高炭酸ガスのモルモット乳頭筋の活動電位に及ぼす影響について検討を開始した。灌流液の二酸化炭素分圧を40mmHgから80mmHgに上昇させると、APD20、APD50、APD90はいずれも約20%延長した。また静止膜電位は5.2mV過分極した。この過分極は3μMウアバインあるいは1mMバリウムによって抑制された。一方APDの延長はI_<Kr>lの遮断薬であるE4031存在下でも認められた。また二酸化炭素分圧を40mmHgから80mmHgに上昇させると、バリウムによる自動能誘発作用が増強された。今後さらに心房筋の活動電位に対する高炭酸ガスの影響、また逆に二酸化炭素分圧を減少させたときの活動電位の変化、二酸化炭素分圧の変化と不整脈発生との関連について検討する。
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