研究課題/領域番号 |
08457418
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
泌尿器科学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小柳 知彦 北海道大学, 医学部, 教授 (80001923)
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研究分担者 |
飴田 要 北海道大学, 医学部, 助手 (60271657)
小林 真也 北海道大学, 医学部附属病院, 講師 (80221240)
野々村 克也 北海道大学, 医学部, 助教授 (60113750)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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キーワード | 小児神経因性排尿障害 / 麻酔 / ウロダイナミックス / 外尿道括約筋筋電図 / 膀胱内圧 / 利尿筋括約筋協調不全 / 利尿筋過反射 / 膀胱コンプライアンス |
研究概要 |
麻酔下ウロダイナミックスタディ(同針電極による外尿道括約筋筋電図(EUS-EMG)と膀胱内圧(CMG)の同時測定)を73人の小児に施行した。対象小児の内訳は、男児50、女児23、年令は2ヶ月〜14才、平均5.6才であった。23例は脊椎・神経に顕性の異常を有し(I群)、37例は機能的排尿障害が疑われるが顕性の異常の無い群(II群)で、残り15例は排尿機能正常のコントロール群(III群)であった。蓄尿反射は93%(68/73)に認められた。消失の5例(7%)の内訳はI群4例、II群1例であった。麻酔レベルを浅くする事で自排尿を57例(83%)に鑑察する事が出来た。内訳はI群95%(18/19)、II群84%(31/37)、III群62%(8/13)であった。57例中広義の利尿筋・括約筋強調不全(DSD)と考えられるものはI群7例(38%)、II群6例(19%)であった。III群は全例synergic voidingでDSD(-)であった。以上より同針電極の操入など侵襲性故に協力が得られない小児例でも麻酔下UDSにて排尿障害の主因たるDSDの診断は可能で、治療方針の選択に有用であった。 小児の機能的排尿障害の主因たる利尿筋・括約筋協調不全(DSD)診断上の排尿時膀胱尿道造影(VCU)の有用性を検討した。対象は2ヶ月〜14才、平均4.5才小児55例で尿勢減弱、残尿率20%以上、膀胱肉柱形成、後部尿道拡張等の自他覚所見を有していた。VCU上の後部尿道最大径(PUD)、外尿道括約筋部最大径(EUSD)、その比率(PUD/EUSD)を計測、PUD/EUSD>2をもって後部尿道拡張(UD)有りと判定した。21例(38%)の小児がUDS上DSDを有していた。尿線減弱と途絶の両者を有する例では100%(9/9)DSD陽性で減弱あるいは途絶の何れかを有する例では56%(9/16)がDSDを示した。一方、正尿排尿例でのDSD陽性率は僅か10%(3例)に過ぎず排尿パターンはDSDと相関する傾向にあった。VCU上の各部の最大径をパラメーターとした場合EUSDがDSDと最も良く相関していた。すなわちDSDを有する例のEUSDは平均2.0mmとDSDを有しない例の平均4.6mmより優位に(P<0.00001)低値であった。EUSD3.0mmをカットオフ値とした場合敏感性、特異性、陽性予測値、因性予測値は各々93、86、78、96%であった。以上より臨床上排尿障害を有する小児ではVCU所見上のEUSDがDSDの診断上有用となる事が示唆された。
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