研究課題
基盤研究(B)
尿路結石症は、戦後の生活様式の欧米化に伴って著しく増加した疾患である.本症は働き盛りの青壮年層を好発年齢としており、再発例も多いことから、医療経済面からみても非常に重要な疾患である.一方、近年尿路結石の治療は、経皮的腎・尿路砕石術(PNL)、経尿管的砕石術(TUL)、ESWLなどの各種の革新的な治療法の導入により、大きく変貌した.しかし、このような新しい治療法は結石そのものに対する治療法であり、尿路結石症としてより本質的な成因に関してはなお多くは不明である.全国疫学調査は、わが国における尿路結石症の現状を把握するばかりでなく、成因を探るえうでも大いに重要な役割を担う.われわれの教室ては過去4回(昭和30、41、54、63年)にわたり約10年間隔で全国集計を施行してきており、1950年から半世紀に及ぶデータ集積ができ、地域的差異のみならず年代推移からも分析可能である.今回調査は、日本結石症研究会の協力を得て、調査項目の詳細な検討を行った.全国の泌尿器科認定施設1,065施設を対象施設とし、調査対象を1990、1995年として、入路結石患者の、年齢別、性別、部位別、職業別、基礎疾患別、結石成分別頻度等を集計し、地域別特徴の有無の検討と年次推移の動向把握を行う.特に、1995年については、個人票データで集計し、前記の因子を有機的にコンピュータ解析する.