研究課題/領域番号 |
08457423
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
三木 恒治 大阪大学, 医学部, 助教授 (10243239)
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研究分担者 |
児島 康行 大阪大学, 医学部, 助手 (50273628)
野々村 祝夫 大阪大学, 医学部, 助手 (30263263)
奥山 明彦 大阪大学, 医学部, 教授 (20093388)
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キーワード | 精巣腫瘍 / 化学療法 / 遺伝子異常 / 遺伝子刷り込み / imprinting / epigenetic / 分化 / insulin-like growth factor II |
研究概要 |
精巣腫瘍研究を行うに当たり、適切な実験系が必要である。我々は、既にヌードマウス移植可ヒト精巣腫瘍細胞株を樹立しているが、これを用いて、CPT-11(camptothecin誘導体)の抗腫瘍効果と分化誘導能を検討した。in vivoにおいてCPT-11はcisplatin(CDDP)同様強力な抗腫瘍効果を示した。また、CDDPとの併用によりその効果は一層増強されることを明らかにした。分化誘導能については抗腫瘍効果が強すぎて分化誘導を起こすまでには至らなかったが、本実験は現在も進行中である。この結果は精巣腫瘍に対するCPT-11の臨床実用性を強く示唆するものである。F344 ratに自然発生する精巣腫瘍は組織学的にはヒトのgonadal stromal cell tumorに極めて類似している。この腫瘍はSertoli cellとLeydig cellの両方の成分を有し、いずれの細胞のマーカー遺伝子も陽性である。このことは未分化な間質細胞からの両細胞への表現型としての分岐を示唆するものである。精巣腫瘍特異的遺伝子のクローニングについては現在もなお単離された遺伝子の解析が進行中である(未発表)。遺伝子の後成的(epigenetic)な発現調節としてのgenomic imprintingは最近になって注目されるようになってきたが、我々は、精巣腫瘍において高頻度でinsulin-like growth factor II geneやH19 geneのgenomic imprintingの異常を認めることを明らかにした。精巣腫瘍細胞をCDDPやretinoic acidで分化誘導した際にgenomic imprintingが再び正常に戻るかどうか現在検討中である。以上、当初の研究目的とやや異なっているが、その研究成果はほぼ満足できる。
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