研究課題/領域番号 |
08457424
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
公文 裕巳 岡山大学, 医学部, 助教授 (30144760)
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研究分担者 |
森山 芳則 広島大学, 理学部, 助教授 (10150658)
友近 健一 岡山大学, 薬学部, 助教授 (00093691)
那須 良次 岡山大学, 医学部・附属病院, 助手 (10263576)
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キーワード | 膀胱 / 移行上皮細胞 / V-ATPase |
研究概要 |
膀胱移行上皮は種々の形態学的、生理学的特徴を獲得しつつ基底層細胞から中間層細胞を経て最外層細胞へと分化する。今回の研究の目的は、膀胱最外層上皮細胞の機能的役割における液胞型H^+輸送性ATPase(V-ATPase)の位置付けを明らかにすることである。【現在までの成績の概要】(1)光顕・電顕免疫組織化学(主として、V-ATPaseの72kDサブユニットに対する抗体を試用)にてその局在を検討した結果、真核細胞の細胞内膜系に分布するV-ATPaseが、少なくともヒト、マウス、ブタの膀胱最外層(腔面)の成熟移行上皮細胞の腔面形質膜にも局在していることが確認された。BafilomycinなどのV-ATPaseの特異的阻害剤をマウス膀胱内に経尿道的に注入すると、マウス尿の酸性化は明らかに抑制され、H^+が膀胱腔にV-ATPaseを介して輸送され、膀胱での尿の付加的酸性化に寄与していることが明らかとなった(FEBS Letters Vol.404(1):61,1997)。(2)尿路感染症実験系において、正常マウスは1型(マンノース感受性)線毛保有大腸菌の膀胱への付着・定着に抵抗性を示す。この抵抗性は、Bafilomycinの膀胱腔内投与により一過性に消失ないし減弱し、1型線毛保有大腸菌に対する易感染状態が誘導可能であった。(3)Brain proteolipidに対するプローブ(α-^<32>P標識)を使用して、V-ATPaseのm-RNA発現を検討したところ、膀胱組織では腎とほぼ同等の強い発現を認めた。さらに、低濃度トリプシンの膀胱腔内注入による、マウス膀胱最外層上皮の選択的剥離とその後の再生系を使用して、最外層上皮の剥離・再生とV-ATPaseのm-RNA発現量との時間的関係を検討した。その結果、上皮の再生に先行するm-RNA発現量の有意の上昇を認めた。
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