研究課題/領域番号 |
08457425
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
内藤 誠二 九州大学, 医学部, 教授 (40164107)
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研究分担者 |
小藤 秀嗣 九州大学, 医学部, 助手 (80294940)
古賀 寛史 九州大学, 医学部, 助手 (20271108)
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キーワード | 腎癌 / 尿路性器癌 / 化学療法 / 多剤耐性 / P-糖尿白 / シスプラチン / グルタチオン / DNAポイソメラーゼII |
研究概要 |
1.P-糖蛋白発現亢進による抗癌剤多剤耐性の形質を示す腎尿路性器癌細胞株を用いて、新たに合成したジヒドロピリジン系化合物、イミダゾチアゾール系化合物を中心に多剤耐性克服薬剤としての有用性をin vitroおよびin vivoにおいて検討した。その結果、副作用のないいくつかの有用な薬剤を見出した。これらの薬剤は獲得多剤耐性のみならず、腎癌の自然多剤耐性にも有効であり、臨床試験への発展が期待される。 2. 腫瘍細胞を高温処理(43℃)すると、topoisomerase IIα(topo IIα)の発現が上昇し、topo II阻害剤に感受性になることが報告されている.我々は、膀胱癌細胞株を用いて高温処理下におけるtopo IIαの発現上昇の機序について検討し、topo IIαプロモーター上の最も下流の逆向きCCAAT配列に結合する蛋白が重要であることを明らかにした. 3. ヒト精巣癌細胞株NEC8細胞からcisplatinに約6倍耐性の耐性株NEC/DDPを樹立した。この株のcisplatin耐性機序は細胞内cisplatin濃度の低下とメタロチオネインの発現亢進が主体であった。これら2株の細胞をヌードマウスの皮下、尾静脈内およびorthotopicな移植部位である精巣に移植し、増殖、転移の発現を比較検討した。その結果、いずれの細胞も皮下、尾静脈内(肺)では増殖しなかったが、精巣では良好な増殖を示し、後腹膜リンパ節に広範に転移した。精巣および転移巣から分離樹立した細胞株はそれぞれのもとの親株細胞とほぼ同等のcisplatin感受性を示し、NEC8/DDPの精巣およびリンパ節転移巣由来株はcisplatin耐性の形質を保持していた。これらの細胞/ヌードマウスの実験系はヒト精巣癌のcisplatin耐性転移巣の治療や転移機構解析のための有用なモデルになるものと思われる。
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