研究課題/領域番号 |
08457427
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
塚本 泰司 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50112454)
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研究分担者 |
宮尾 則臣 札幌医科大学, 医学部, 講師 (40200125)
伊藤 直樹 札幌医科大学, 医学部, 講師 (60193504)
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キーワード | 成長因子 / EGF / FGF / TGF-beta / 前立腺肥大症 / pressure-flow study |
研究概要 |
本年度は1)前立腺上皮および間質細胞の増殖およびその抑制に関する成長因子の影響と成長因子間の相互作用、および2)前立腺肥大症における膀胱平滑筋の機能をpressure-flow study(PFS)で検討した。 1. 前立腺上皮および間質細胞の増殖およびその抑制に関する成長因子の影響と成長因子間の相互作用 Transforming growth factor(TGF)-betaは前立腺上皮の増殖に抑制的に、一方間質細胞の増殖に対しては促進的に作用するが、この成長因子に対するepidermal growth factor(EGF)およびfibroblast growth factor(FGF)-7の作用を検討した。TGF-betaは上皮および間質細胞のいずれにも存在したが、testosteroneのこの成長因子に対する作用は認められなかった。しかし、EGFは間質細胞でのTGF-betaのmRNAの発現を約6倍刺激した。また、FGF-7は上皮細胞でのTGF-betaの発現を約3倍増加させた(いずれもquantitative PCRによる検討)。したがって、TGF-beta、EGF、FGF-7などの成長因子間にも調節機構が存在することが示唆され、前立腺内における細胞増殖と細胞死とのバランスを保つ機序に一つと考えられた。 2. 前立腺肥大症における膀胱平滑筋の機能 前立腺肥大症における膀胱平滑筋の機能をpressure-flow studyで検討した。前立腺肥大症114名に施行した(PFS)では35例(30%)では明らかな下部尿路通過は認められず、これらは下部尿路通過障害あるいは加齢による膀胱平滑筋の機能低下が推測された。 これらの症例に一部は経尿道的前立腺切除術施行後も排尿状態が改善しなかったが、臭化ジスティグミンにより膀胱平滑筋に収縮力を向上させることで、排尿状態も改善した。この結果からも、前立腺肥大症に一部の症例では下部尿路通過障害が排尿障害の原因ではなく、膀胱平滑筋の機能低下が原因である場合があることが示唆された。
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