研究課題/領域番号 |
08457430
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
大川 順正 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (90073733)
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研究分担者 |
小倉 秀章 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (60264496)
森田 照男 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手
森本 鎮義 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (20094683)
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キーワード | 腎結石 / MDCK細胞 / 蓚酸カルシウム結晶 / 結晶付着 / キャピラリー電気泳動 / 尿中蓚酸 / 尿中クエン酸 / 走査型電子顕微鏡 |
研究概要 |
培養尿細管細胞(MDCK細胞)と蓚酸カルシウム結晶の付着・取り込みに関する定量的接触実験系を確立した。形態学的に結晶付着は、細胞間隙よりむしろMDCK細胞自身の表面に多く見られ、走査電顕像では単なる付着でなく何らかの物質を介したあるいはendocytosisによる細胞表面からの捕獲を示唆するものであった。また、Hank's液による細胞表面の洗浄や、トリプシン処理によっても結晶は細胞から離れることがなかった。こうした結晶付着は、結石形成に至る初期過程の重要な現象のひとつと考えられた。 付着結晶量に影響する因子の検討において、種々のglycosaminoglycan (GAG)を用いた細胞表面の前処理によって付着結晶量は有意に減少した。また、界面活性剤(Triton X 100)や、尿細管細胞障害を起こすところの0.1N塩酸およびゲンタシンの前処理によっても結晶の付着は抑制された。 以上の成果を踏まえ、尿細管細胞における蓚酸カルシウム結晶の付着・取り込みに対するヒト尿の影響を検討するに当たって、既に知られているところの尿中結石関連因子を定量し、臨床的にこれらの測定をルーチン化することを優先させた。すなわち、尿中結石関連因子の中でも蓚酸およびクエン酸は、各々最も強い結石形成促進および抑制因子とされ、従来その測定には時間と高価な試薬を要することからルーチン化の妨げとなっていたが、新しい分析技術であるキャピラリー電気泳動法によって可能とした。用いた機種はウォーターズ社クォンタ4000Eであるが、種々の基礎検討より泳動液を25mMリン酸2Na+0.5mManion-BT、印可定電圧を14KV、尿検体の希釈率10倍の条件下で、蓚酸およびクエン酸を同時測定することが出来た。
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