(1)今年度新規に家族性卵巣癌家系、乳癌/卵巣癌家系18家系を集積し、BRCA1遺伝子の解析を行った結果、家族性卵巣癌3家系と家族性乳癌/卵巣癌家系4家系でgermline mutationを認めた。前年度までのものを含めると、卵巣癌家系17家系中7家系(41.2%)乳癌/卵巣癌家系17家系中11家系(64.7%)合計34家系中18家系(52.9%)の頻度であった。。 (2)BRCA1遺伝子に関連しない15家系を対象として、患者が少なくとも2名以上存在すれば解析可能なsib-pair analysisを実施した結果、9q34-35領域いおいてZ2=0.96が得られた。 (3)BRCA1遺伝子に異常を認めた女性68名(患者32名、健常者36名)の年齢をもとにカプランメイヤー法により卵巣癌の浸透率を計算し、日本人における生涯危険率が80%であることを明らかにした。 (4)BRCA1遺伝子に異常を認めた卵巣癌患者25名の臨床的解析の結果、しょう液性腺癌が96%を占め、孤発例に比較し明らかに高い生存率を示す事、あるいは発症年齢の平均は51.1才と孤発例の平均年齢52.03才とほぼ変わらず欧米の家族性卵巣癌患者の平均発症年齢より高い事が明らかになった。 (5)アンケート調査による上皮性卵巣癌4512例の解析の結果、1例の遺伝性卵巣癌/乳癌家系、6例の遺伝性卵巣癌家系、5例の家族性卵巣癌家系が認められたが、この頻度は欧米のものと比較すると約10分の1であった。
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