研究分担者 |
杉村 基 浜松医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (30273189)
西口 富三 浜松医科大学, 医学部, 助手 (30198452)
住本 和博 浜松医科大学, 医学部, 助手 (30126817)
金山 尚裕 浜松医科大学, 医学部・附属病院, 講師 (70204550)
寺尾 俊彦 浜松医科大学, 医学部, 教授 (60022852)
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研究概要 |
1.重症妊娠中毒症症例の多数を解析し,MRA検査により血管攣縮をより明確にする. 重症妊娠中毒症,子癇,HELLP症候群症例を集積中である.重症妊娠中毒症では,血管攣縮は前,中,および後大脳動脈に及び,後大脳動脈に攣縮がみられた症例では視覚障害を訴えることが多い. 2.重症妊娠中毒症症例において大血管の異常を検索する. 重症妊娠中毒症を発症した症例において現在までに判明した異常は,腹大動脈の蛇行,狭窄,偏位,下腸間膜静脈の下行・拡張,脾・左腎静脈短絡,卵巣静脈の拡張,特発性門脈圧亢進症例などであり,とくに左腎静脈の鬱滞度が大きい症例ほど妊娠早期より中毒症が悪化していた. 3.重症妊娠中毒症症例における凝固線溶系の変化を明確にする. 凝固線溶系の異常の特徴は、ATIII活性の低下,TATの増加,PICの増加,D-Dimerの増加,血小板数の減少,tPAの増加,uPAおよびPAI-2の減少であることを証明した. 4.重症妊娠中毒症症例における血管攣縮の誘因を明確にする. (1)ラット腹部交感神経節をエンドトキシンで刺激し,HELLP症候群様ラットの作成に成功した.交感神経への刺激はカテコールアミンの分泌を促進し,血管攣縮の誘因になる.(2)Fluid Shear Stressの結果,PKCを介して血小板が活性化することを証明した.(3)子癇症例では,血管攣縮物質であるカテコールアミン,すなわちエピネフリン,ノルエピネフリン濃度が有意に上昇していることを証明した.これらの結果はいずれも重症妊娠中毒症と血管攣縮の関係を示唆している.
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