研究課題/領域番号 |
08457443
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
野澤 志朗 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90051557)
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研究分担者 |
青木 大輔 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (30167788)
塚崎 克己 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (40118972)
吉村 泰典 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (10129736)
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キーワード | 接着分子 / trophinin / 子宮体内膜 / RT-PCR / 免疫組織細胞化学 |
研究概要 |
Trophininはhomophilicな接着活性を有するタンパクで、tetratocarcinoma由来のHT-H細胞と子宮体癌由来のSNG-M細胞をco-cultureすることによって両者が強固に接着するという現象が発見の出発点となった。この分子は、両細胞に全く接着しないCos-1細胞にHT-HのcDNA libraryを組み込んだ発現ベクターをtransfectionし、SNG-Mに対して接着活性を有するクローンをスクリーニングする発現クローニング法によって同定された。本分子を発現する細胞は互いに接着することが確認されているので、内膜と胚の接着から着床現象の一翼を担っていることが推測され、その場合には、本分子の発現は月経周期によって厳密にコントロールされている可能性が高いところから、本年度は子宮内膜組織におけるTrophininの発現状況の検索を目的とした。方法としては、まずmonoclonal抗体を作成しTrophinin分子の検出をin situで行うことを試みた。monoclonal抗体の作成にあたって用いた免疫源はTrophinin分子上で接着活性を有するpeptide部分とGlutathione-s-transferaseとのreconbinant fusion proteinである。さらにtrophininのcDNAの塩基配列から適当なPCR primorを合成し、ヒトの内膜組織から抽出したRNAを対象にcompetitive RT-PCRによってtrophinin mRNAの月経周期における相対的発現量の変化を検討した。その結果、月経周期全体を通じて腺細胞を中心にmonoclonal抗体に対する組織化学的陽性所見が認められ、その他間質の一部や子宮筋層の平滑筋にも陽性であったことから、本抗体の特異性の点でその結果の解釈には慎重であるべきと考えられた、一方、RT-PCRによればtrophinin mRNAの発現peakはlate proliferative phaseであり、本分子は内膜の月経周期すなわち内分泌環境の変化によってその発現がコントロールされていることが示唆された。
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