研究課題/領域番号 |
08457444
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
産婦人科学
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
兼子 智 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (40214457)
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研究分担者 |
立野 裕幸 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (80163492)
石川 博通 東京歯科大学, 歯学部, 助教授 (60112679)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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キーワード | ヒト精子 / 先体反応 / 染色体 / 精子運動 / 染色体欠失 |
研究概要 |
これまでカフェインはそのPDE阻害活性により精子内cAMP濃度を上昇させ、先体反応の誘起を促進すると考えられてきたが、PDE阻害による精子内cAMP増加は精子運動を賦活するが先体反応誘起には関与せず、さらにCa^<2+>チャネルブロッカーを用いた検討によりキサンチン誘導体による先体反応誘起促進はCa^<2+>チャネルを介した細胞外Ca^<2+>の先体への流入促進であることを示唆する結果を得た。キサンチン誘導体であっても細胞膜非透過な8-SPTが運動に影響しなかったことは、カフェインによる精子運動賦活は細胞内、先体反応誘起促進は細胞表面と、両者は精子の異なる部位で異なった機序で起こっていることが示された。 本研究ではさらに精漿中にアデノシンが存在することを初めて見出し、アデノシン受容体アゴニストであるPIAが先体反応誘起を抑制し、アンタゴニストである8-SPTが促進し、両者は拮抗することを明らかにした。精子は精漿から離脱することにより自発的に先体反応を誘起するが、精漿を除去してもアデノシン存在下では誘起せず、再洗浄によりこれを除去すると誘起を開始することを認めた。これらの結果はアデノシン受容体が精液中における先体反応の抑制に関与し、精漿の除去、すなわち洗浄によるアデノシンの除去が先体反応誘起の引き金となっている可能性を示唆している。 ヒト精子染色体構造異常を裸化ハムスター卵への侵入させ、染色体を膨化させた後、観察した結果、妊孕性確認(有子)男子を被験者としたにもかかわらず14-25%の精子に構造異常、特に欠失を認めた。精子を4層Percoll密度勾配に層積し、250xg、3-4分間遠心分離すると約1%の精子が沈澱中に回収され、この分画中の精子染色体異常率は平均3%に低下した。また洗浄精子をKS-II精子保存液を用いて凍結保存し、融解後に蘇生した運動精子を同様にして染色体異常率を観察した結果、平均5%程度に低下していた。検討した両法を比較すると、精子回収率の点で後者が有用であり、今後染色体構造異常を有しない精子に選択性のある凍結保存液の開発を行う。
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