研究概要 |
身体の平衡を考えるとき,その出力である身体(重心)動揺と眼球運動の解析は不可欠である。しかも,その精度は十分高くなくてはならない。眼球運動は,本来眼球の上下,左右,前後の3本の軸を中心にして回旋する三次元運動を行っている。しかし,実行可能な眼球運動の三次元記録・解析方法がほとんどなかった。われわれが開発した眼球運動解析システムは、これを可能にしている,しかし,現有のシステムはその誤差範囲や操作性などの面から問題が少なくない。平成8年度にはより精度の高い解析システムを作るために新しいコンピュータを購入し,同時に専門家(ソフトウェア会社)に協力を依頼して,ソフトウェアの大幅な改良に着手した。健常者,めまい・平衡障害を訴える人たちの眼球運動を赤外線CCDカメラで撮影し,この新たなシステムでの解析結果を,従来のものと比較検討しながら,開発を進めている。平成10年までに完全なシステムとして完成させたい。 眼球運動には緩徐な運動(眼振緩徐相,視標追従運動)と急速眼球運動(サッケード,眼振急速相)があり,前者の解析には現在のシステム改良により,一層の前進が可能である。一方,急速眼球運動の解析には少なくとも200Hz程度のサンプリングが必要であり従来型のCCDカメラを用いる限り不可能である。この撮影には高速度CCDカメラ(現有)を用いる必要がある。このカメラで撮影された画像を,今回改良している解析システムで画像に歪みのないように行うための工夫も同時に進行している。
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