研究概要 |
視覚のfunctional MRIの際に,より適切な刺激が行えるように今年度は視覚刺激装置を大幅に改良した。具体的には,視覚刺激に用いるパーソナルコンピュータでプログラムされた任意の画像を液晶プロジェクターで投影し,投影された画像をfunctional MRI視覚刺激装置のイメージガイドを介して被検者に送ることができる。各二台のパーソナルコンピューター,液晶プロジェクターを用い,更にはアイピース部の改良により,両眼分離刺激による両眼視が容易に可能となった。この改良により視差を用いた立体視刺激をはじめとして,functional MRIにおける様々な刺激法が可能となった。この刺激装置により,今年度から視差刺激によるfunctional MRIを行い,立体視中枢部位の同定を行っている。視差のある立体写真やコンピュータプログラムで作成したランダムドットによる立体図形で刺激を行ったところ,大脳の頭頂葉角回付近に信号強度の増大が認められた。この画像データを画像解析したところ,統計学的にも極めて有意な大脳活性部位と判断された。そして,この部位は高次視覚中枢である視覚連合野の一つの頭頂連合野の一部と考えられ,頭頂連合野が立体視の中枢であることを示唆するものである。この結果は従来の動物実験や最近行われているpositrone emission CTでの報告とも一致する。装置の改良も含め,上記の研究成果を平成11年度の日本眼科学会で発表予定である。
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