研究課題/領域番号 |
08457465
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田野 保雄 大阪大学, 医学部, 教授 (80093433)
|
研究分担者 |
岸田 健一 大阪府立看護大学, 看護学部, 教授 (80028563)
瓶井 資弘 大阪大学, 医学部, 助手 (40281125)
大路 正人 大阪大学, 医学部, 講師 (90252650)
不二門 尚 大阪大学, 医学部, 教授 (50243233)
|
キーワード | 中心窩移動術 / 脈絡膜新生血管 / 黄斑 / 強膜短縮 / 網膜切開 |
研究概要 |
強膜短縮を用いた中心窩移動術(黄斑変位術)を臨床例で行い、その術後経過と合併症について検討した。強膜短縮を用いた場合、重篤な合併症は特に生ぜず、中心窩は平均0.7乳頭径の距離を鼻内側へ移動させることができた。中心窩移動術を施行した過半数の症例で視力改善が得られており、脈絡膜新生血管が比較的小さい近視性血管新生黄斑症に対しては、自然経過と比較して、有効な治療法であると考えられた。手術適応の選択において、SLO微小視野により、黄斑部網膜感度の測定、および固視点測定を行い、また、OpticalCoherence Tomography(OCT)による黄斑部網膜の断層像により、中心窩機能の術前評価を行うことが有用であった。また、術後の網膜機能評価としても、SLO微小視野測定は、矯正視力とともに有用な検査であった。術後の中心窩陥凹の回復は、OCTにより経過観察が可能であり、移動後の中心窩を機能的、解剖学的に経過観察できた。強膜短縮を用いた中心窩移動術では、視機能に影響を与える最も大きな合併症としては、角膜乱視と網膜襞の形成が挙げられた。術後2Dから6Dの角膜乱視を生じるため、乱視矯正の方法については、今後検討されるべき課題である。また、網膜襞は、強膜短縮に必ず伴うが、中心窩を含まないように襞形成をコントロールすることが必要である。今後は、脈絡膜新生血管の比較的大きな、加齢性黄斑変性の症例に対する中心窩移動術として、周辺部網膜全周切開法による中心窩移動術を検討していく必要があると考えられた。なお、上記研究計画の実施にあたっては、文書で患者の同意を得ている。
|