研究概要 |
世界で自然発症のモデルである鎖肛ブタ家系を有するのは我々だけである。これまで鎖肛が高頻度に発症するような近親交配を繰り返してきた。外部からは他家系のブタを導入していないため発症頻度がさらに増加した。1988年度集計では、両親が鎖肛の場合には発症頻度が30.0%片親が鎖肛だが他方の親が鎖肛ブタのsiblingで正常の場合14.0%であった。 最近3年の交配結果ではこれがそれぞれ76.6%と43.8%であった。最近3年の検体よりDNAを抽出してSSCP法とmicrosatellite法を用いて遺伝解析に必要な多型を調べたがheterozygosityに乏しかった。この貴重な検体は疾患遺伝子の近傍の遺伝子が連鎖解析されるまで保管することとした。鎖肛は複雑な遺伝様式が推定され、これまでに疾患遺伝子が全く不明であった。この遺伝解析のために新たなブタの系を導入して新家系を作成し検体を採取している。 ブタ遺伝子マップをさらに精密にするために、35個のブタcDNA clonesの3'側非翻訳領域(170〜300bp)をPCR法により増幅させ、1.連鎖解析を目的とした家系の明らかな3世代のブタを用いて増幅領域のSSCP(1本鎖高次構造多型解析)によりLinkage mappingを行う。2.Somatic cell hybrid panel (Yerle et al.,1996)の27個のブターハムスター(マウス)のパネルのうち増幅されたものをもとに染色体上の座位を判定する。3.Comparative mapping : cDNAの生化学的情報をもとにZOO-FISH法によるヒト・ブタ比較遺伝子マップとの比較検討を行っている。
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