研究概要 |
15年かけて独自に樹立(手術、生育、交配、出産の作業を繰り返した)して、維持してきた自然発生鎖肛ブタ家系を有し、本補助金の援助により継続維持する努力を続けた。他家系との交配を全く行わない状況で最近の交配結果としての鎖肛発生率は両親が鎖肛であると75%、片親が鎖肛で他親が鎖肛の同胞であるときには45%という高率を維持できている。 これらすべての個体よりDNAを抽出して遺伝子検索ように保存する作業を続けて来た。現在までのSSCP法、microsatellite法による検索ではいまだ遺伝子解析によるheterozygosityを特定するに至っていない。 ヒトとブタの比較遺伝子マップが現在アメリカとヨーロッパの2グループにより作成され少しずつ充実しつつあることより、我々もヨーロッパグループに参画して、新しい多形マーカーの探索、作成を行って来た。その一部は、HSA1とSSC6およびSSC14,またHSA20とSSC17との関係などについてMammalian Genomeに報告した通りである。 鎖肛ブタ家系と全く異なる野生に近い家系の正常ブタを交配して、3代に渉る交配実験を現在進行させており、すでに(25)/(260)の鎖肛個体数を得た。未だ十分な個体数の標本を得るに至っていないとは言えるが、過去の標本とともにこれら全個体の遺伝子解析を同時に進行させているので、間もなくこの疾患関連遺伝子の解析に至ることを我々自身期待している。
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