研究課題
新生児虚血性腸炎の発症におけるnitric oxide(NO)とoxidant stressの関与を明らかにする目的で、腸管虚血再潅流モデル(ラット)を用いて、急性期および慢性期のモデルで検討した。その結果次のことが明らかとなった。1)急性期においてL-NAME投与により、死亡率が有意に高く、腸管および肝組織血流量、門脈血流量のすべてがControlに比し、低値をとる。2)慢性期では、L-Arginine投与群で死亡率が高く、腸管粘膜の障害が強い。以上より、虚血再潅流直後にNOの合成を抑制すると、肝臓などの臓器血流量が低下し、oxidant stressが増悪することが明らかとなった。しかし急性期以降はむしろNOの過剰産生により臓器障害がいっそう促進されると考えられた。さらに研究を進めるため、ラットにエンドトキシンを投与して、消化管粘膜のnitric oxidase synthase(NOS-III)発現を調べた。その結果、NOS-III mRNAおよびその蛋白が全消化管粘膜で発現が見られること、エンドトキシン投与により腸管粘膜のNOS-III mRNAがdown-regulateされることを初めて明らかにした。以上の結果より、NOS-III mRNAの発現の低下が腸管粘膜の血管拡張を抑制し、sepsisにおける粘膜構造や機能低下の原因となる可能性が示された。
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