BZLF-1プロモーター遺伝子を細胞に導入するため、CAT遺伝子を連結させた遺伝子を構築した。この構築遺伝子の塩基配列を確認した後、エレクトロポレーション法を用いヒト唾液腺上皮細胞株であるHSG細胞にトランスフェクションを行った。更にこの遺伝子導入の有無を確認する目的から、CATの反応をELISAで検出したところ、導入細胞の数が少なく今後の実験に支障を来す可能性が考えられたため、遺伝子導入法をエレクトロポレーション法からリン酸カルシウム法に変更した。その結果、50%程度の細胞に導入遺伝子が確認された。この細胞を用い、in vitroで炎症性サイトカインであるインターフェロンガンマ、TNF、IL-1等を加えその反応性を検出する目的から、これらサイトカインの用量依存性、反応時間の決定などCAT活性により予備的に検討した。その結果、種々のサイトカインにおける至適濃度が把握できたことから、これらサイトカインのBZLF-1プロモーターへのシグナル伝達経路を検討した。刺激後の細胞から抽出した蛋白を抗STAT1〜3抗体で免疫沈降し、リン酸化を認識する抗体で検出を試みたところ、インターフェロンガンマ刺激で有意に検出されたことから、BZLF-1プロモーターに対して間接的に働いている可能性が考えられた。BZLF-1プロモーターの塩基配列にはAP-1の結合部位が存在することから、これら転写因子との関連について今後検討を行うと共に唾液・涙液を用いた検討を重ねて解析する予定である。
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